八方から眺めて美しい『八芳園』

パワースポットめぐり -八芳園-
調和を考え適材を適所に配し、愛情愛育を持って自然を整える

「四方八方、どこを見ても美しい」
この庭園の名称は、そんな遊び心ある由来に基づきます。
そして実際に、その名に違わぬ圧倒的な美しさを誇っています。
都内でも有数の高級住宅街、港区白金台に1万2000坪を擁する広大な敷地。もともとは江戸幕府派旗本・大久保忠教の屋敷として造られた、いわゆる大名庭園です。
その後、持ち主は幾度かの変遷を経て「鉱山王」と呼ばれた久原房之助の手に渡り、大往生を遂げる95歳の晩年まで彼はこの場所を愛し住み続けました。
「八芳園」という名も、彼の命名によるものです。
静寂が支配する世界

木戸門をくぐり中へ一歩足を踏み入れるとそこは、静寂が支配する世界です。
鼓膜を振るわす一切の音が消え、庭園と私、ただ、それだけになります。
不思議の国のアリスなら、ここでウサギが登場するかもしれませんが。
こちらで現れるのは、荘厳な雰囲気を醸し出す見事な十三層塔です。
この塔の存在がもたらす安定の力は、計り知れません。
まるでこれだけで、庭園全体の調和が保たれているかのようです。
二百有余年前、元文年間に伊賀の上野で造られたこちらの塔は、庭全体を静かに見下ろす位置にどっしりと鎮座しています。
私には、眼下に広がる大きな池と一対になっているように感じられました。
池が陰、そして塔が陽の気です。
共鳴した気の流れによって循環が起こり、清々しさで空間が満ち溢れていました。
心がすっきりと整理され、あるべきところにすべてが収まるような感覚です。
現在では挙式会場としての華やかな側面がクローズアップされる八芳園ですが、敷地内には神武天皇や明治維新の志士を祀った大護神社もあり、どちらかというと猛々しい男性的な雰囲気が漂っているのも事実です。

この庭に佇んで、歴代の当主である男性たちは何を想い考えていたのか。
ふと私は、そんなことを思いました。
権力と組織、戦略と統制。燃える理想と、冷静な思考。
そして、日本の未来。
歴史に名を残した彼らの功績や偉業の数々は、もしかしたらこの空間に支えられていたのかもしれません。
前のページへ
TOP